ベトナム語 本気で発音の勉強をする 母音編

ベトナム生活

この記事で紹介したとおり、日本人にとってベトナム語の発音は地獄の難しさです。

今回「たかさん」が実践したベトナム語の母音の発音練習を紹介します。基本的に母音は北部と南部で大きく異なっていないようですが、南部に特化していることを事前に付け加えます。

IPAの発音表をもとに日本語とベトナム語の母音の違いを知る

私が調べた範囲では、IPAベースでの母音は日本語で5、ベトナム語(南部)で9です。これをIPAの母音表で見てみましょう。

黄色:ベトナム語母音、緑色:日本語母音

日本語母音 [ä] [i] [u] [e̞]  [o̞]
ベトナム語母音 [o] [ɔ] [ə] [a] [i] [ɨ] [u] [e] [ɛ]
※[ɪ̈] 北部にみられる母音

IPAの母音表の優れている点は、口の開き方と舌の位置が対応している点です。では、ここから読み取れることをまとめます。

  • 日本語の母音は口の形がはっきりと異なるが、ベトナム語では母音同士が近い
  • 日本語とベトナム語で共通している母音は[i]と[u]しかない。

なるほどこうやってみると、日本人の母音がベトナム人に伝わっていない理由がわかります。

日本語の似ている母音を一緒にしてしまう

ベトナム語には、日本語の「お=o̝」はありません。しかし、発生上は似ている、口の開き方が半狭の[o] と半広[ɔ]の二つがあり、ベトナム人はごく普通に識別できます。

日本人はどちらも「お」のように識別してしまいます。

同様の現象が「え=[e̞]」でも起こります。[e][ɛ]がそれぞれ日本人には「え」のように識別されます。

非常に重要な母音「あ=[ä]」ではどうでしょうか。ベトナム語にはその発音はありません。しかし、比較的近い音として [ə][a]があります。

母音の発音学習は、自分が確実に発音できる身近な音から

結局のところ、長い時間をかけて勉強していても発音のことは何も分かってなかった、ということを知ったのは比較的最近のことでした。

発音は音楽に似ています。音楽史をいくら知っていても歌をうまく歌えるとは限らないように、語彙力や文法とは少し違った頭で勉強し直す必要があるのです。

[o] [ɔ]の母音発音練習

まず、近い音で考えます。日本語の 「お=[o̞]」の近くには、 [o] [ɔ]があります。「お=[o̞]」の発音を中心に、少し口を閉じて発生すれば[o]です。逆に、少し口を開いて発生すれば[ɔ]ですね。

Wikipediaの国際音声記号(IPA)には、各母音の細かな説明と音声サンプルがありますので参考にしましょう。

[o]の正しい発音
[ɔ]の正しい発音

これを何度も繰り返して発生し、明確に発生できるようにします。耳が慣れるよりも正しい発音の発生習得は早いです。音の識別までできるようになるには相当時間がかかります。

実際、それぞれどんな単語があるでしょうか、参考までにまとめます。

[o]の単語:số,tốt,thốt,chốt

[ɔ]の単語:sót,tỏi,thói,chói

[e]と[ɛ]の母音発音練習

まずは日本語の「え=[e̞]を意識します。「え」を中心に少し口を閉じて発生すると[e] 少し口を開けて発音すると[ɛ]となります。

[e]の正しい発音

[ɛ]の正しい発音

実際、それぞれどんな単語があるでしょうか、参考までにまとめます。

[e]の単語:Kệ, Ghê, Sên, Tên, Thể, Chết, Trên, Đến, Nến

[ɛ]の単語:Kẻ, Ghét, Sẻ, Ten, Thẻ, Che, Trơ, trẽn, Đen, Nè

[ə]の母音発音特に厄介

多くの言語に存在する発音です。英語にも見られる発音で、シュワーと言いますが曖昧母音と呼ばれるものです。

シュワーの音は、日本人はかなり意識して口の形を作る必要があります。日本語の「あ」の音を基準に少し口を閉じます。そのまま少し舌を後ろに下げて発音すると訛ったような「あ」のような音になります。

シュワーは、曖昧母音と言われるだけあって前後の子音や母音の関係で日本人の耳には「あいうえお」どれにも聞こえる厄介な母音です。

例として、kênhはIPAではkəːn˧˧と発音されます。日本人の感覚ではケェンではないでしょうか? しかし、sâuやthấtでは「あ」をイメージします。音声上は、どれも[ə]なのです。

[ə]の正しい発音

実際、それぞれどんな単語があるでしょうか、参考までにまとめます。

[ə]の単語:Sâu,Tất,Thất,Chất,Trâu,Đất,Nâu,Nhất,Hầu

 [ɨ]は[ə]をともなうことが多い

[ɨ]の音も日本人の耳には「い」や「う」に聞こえます。厳密には「い」と「う」の口の開き具合で舌を真ん中にして発音します。鈍ったような「い」のような「う」のような音になりますね。これが、この発音です。

[ɨ]の正しい発音

実際、それぞれどんな単語があるでしょうか、参考までにまとめます。

 [ɨ]の単語:Tinh, Thinh, Chính, Trinh, Đinh, Ninh bình, Nhí

[ɨ]は、[ə]を伴って二重母音となります。重要な単語がđược(ɗɨək˨˩˨) 、nước(nɨək˧˥)など。日本人の耳には、ドゥック、ヌック、と聞こえています

母音uの音はどこにもありませんから、無理にカタカタにしてしまうと永遠に通じない「ベトナム語的な日本語」を話していることになります。

[ə]と [ɨ]の音を確実にすると、要は二つの母音を高速で発音していることがわかります。確実に発音できるように個別の発音を練習しましょう。

[a]の発音練習

[a]の発音もやはり日本語の「あ」とは異なります。練習は比較的行いやすく、日本語の「あ」を発音しながら舌を前に出します。これも日本人には訛ったように感じますね。

[a]の正しい発音

実際、それぞれどんな単語があるでしょうか、参考までにまとめます。

[a]の単語:Sài gòn,Tại,Tha,Cha,Tra,Vành, đai, Nai, Nhà, Hai

分かれば割と簡単、発音勉強の優先度をあげよう

一般的に日本人の成人の語彙数は4,5万から5万単語あるそうです。外国語でもそれに近い語彙数が必要と考えた場合、暗記は本当に大変な作業です。

しかし発音はたかだか2桁程です。いくら語彙力があっても伝わらないのでは意味がありませんし、伝わらないことはモチベーションを著しく下げます。

発音勉強を優先的に行い、正しい発音で単語を覚えた方精神衛生的にもよいですね。

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